ピノノワールに憑りつかれ、ピノノワールのみを追求する男
“Devoted to Pinot Noir” - その言葉が意味するところの通り、ピノノワールに憑りつかれ、ピノノワールのみを追求する男、Don McConachy / ドン・マコナキー。Devotus / デヴォトス(ラテン語で 「〜に尽くす」を意味する)はドンによって2014年世界屈指のピノノワール銘醸地、マーティンボロテラスに設立された極めて小規模なワイナリー。栽培・生産しているのはピノノワールのみで、平均的な年間生産量はトータルで約500箱のみ(それも毎年予約のみで完売!)。
ドンにとっての運命的な出会いは、NZでピノノワールを栽培するために理想的な「Martinborough Terrace (水はけの良い砂利質)」に、彼が愛する2つのワイナリー、「Dry River」によってワイン産地としてのマーティンボロ初期にピノが植えられ(望みうる限り樹齢の古い)、かつ「Ata Rangi」との間に位置する3haの畑が売りに出されたことでした。 彼は、運命に感謝しその土地を購入、その畑に「Devotus」と名付けたのでした(2014年初リリース)。幸運にもベストと言える畑を手に入れたドンに、もう1つの幸運が訪れます。それは NZ で最も才気に溢れた若き醸造家「Alex Craighead /アレックス・クレイグヘッド」との出会い。まだまだワイン造りにおいては多分に人の手による介入がなされ、土地本来の声よりも醸造テクニックによる個性がワインに見られることが多いNZにおいて、アレックスが追求しているナチュラルなアプローチによるテロワール重視のワイン造りはドンの求める理想に合致。アレックスもドンが所有する畑が持つポテンシャルに魅せられ、現在に至るまでコンサルタントとして携わるようになります。
畑に命を注ぐ「ヴィニュロン」
ドンが所有する3haの畑にはピノノワールのみが植えられ、最も古いもので樹齢30年を超えるマーティンボロの中でも初期に開墾された「テラス」と呼ばれる区画。川沿いの薄い層が重なる表土と石を多く含む水はけの良い土壌(そのため根が深く伸びる)をもつ畑では灌漑はせず、除草剤を含む化学的な農薬も一切使われず、オーガニックに管理されています(認証は無し)。収量は極めて低く抑えられ(2018 Devotus は4.75t/ha)、ブドウがもつポテンシャルをいかに高めるかにドンの主眼はあるため、彼は畑でその時間のほとんどを過ごします(そんなドンは自らを誇りをもって”ヴィニュロン”と名乗ります)。
手を掛け過ぎないハンズオフの精神
畑には手をかけるものの、対照的にワイン造りで見られるのは”hands-off”の精神。求めうる限りベストな品質で収穫されたブドウは野生酵母によって醗酵され、補糖も補酸も行いません。新樽や清澄剤といったものも使用せず、添加されるのは極少量の酸化防止剤(約30ppm)のみ。もちろん、ほったらかしにするという意味ではありません。そうして産まれるデヴォトスのピノノワールは、その限られた生産量も相まって毎年予約受付のみで完売。日本への入荷も当時は全ての在庫が完売していたため、数年待ってからようやくご紹介することができるようになった「見つけたらマストバイ!」なワイン。
主な受賞歴・評価など
94 pts Cameron Douglas MS